臨床報告
淋菌性結膜炎による角膜穿孔の1例
洲之内 千尋
1
,
﨑元 暢
1
,
﨑元 丹
1
,
山上 聡
1
1日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
キーワード:
淋菌性結膜炎
,
角膜穿孔
,
gonococcal keratoconjunctivitis
,
corneal perforation
Keyword:
淋菌性結膜炎
,
角膜穿孔
,
gonococcal keratoconjunctivitis
,
corneal perforation
pp.1315-1319
発行日 2019年10月5日
Published Date 2019/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001419
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淋菌性結膜炎による成人男性の角膜穿孔の1例を経験した。症例は36歳,男性。約3週間前からの両眼眼脂,充血があり近医で抗菌薬点眼,副腎皮質ステロイド薬点眼による加療を受けるも左眼角膜穿孔を生じ当科紹介となった。両眼性の強いクリーム状の膿性眼脂と結膜充血,左眼角膜上鼻側の角膜穿孔と上耳側の角膜菲薄化を認めた。塗抹検鏡でグラム陰性双球菌を認め淋菌性結膜炎による角膜穿孔と診断し,入院のうえセフトリアキソン点滴・塩酸セフメノキシム点眼等を開始し,初診翌日に左眼角膜穿孔に対して保存角膜を用いた治療的角膜移植術を施行した。術後経過は良好であり術後6日目に退院,一過性の眼圧上昇はみられたものの移植片の融解なく接着良好であり,術後6か月目で点眼中止とし,最終受診時の術後9か月目には左眼視力(1.2)と良好であった。眼脂培養で検出された淋菌の薬剤感受性は,ペニシリン系およびフルオロキノロン系耐性,第3世代セフェム系には感受性ありという結果であった。また,尿路感染症はなかったが,問診を繰り返すうちに,スーパー銭湯や健康ランドへ頻繁に通っていたことがわかり,感染経路の可能性のひとつとして考えられた。
淋菌性結膜炎は角膜合併症を引き起こさないためにも早期の診断・加療が重要である。加療の際には薬剤感受性の確認も大切であると考えられた。
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