私の経験
濾過手術後に顕著な網膜動脈の狭細化がみられた原発開放隅角緑内障の1例
岩見 千丈
1
,
妹尾 佳平
1
,
山下 あさひ
2
1北上済生会病院眼科(北上市)
2岩手県立中部病院眼科(北上市)
キーワード:
眼圧低下
,
網膜動脈狭細化
,
intra-ocular pressure reduction
,
retinal arteriolar narrowing
,
autoregulation
Keyword:
眼圧低下
,
網膜動脈狭細化
,
intra-ocular pressure reduction
,
retinal arteriolar narrowing
,
autoregulation
pp.1329-1333
発行日 2019年10月5日
Published Date 2019/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001421
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若年性の原発開放隅角緑内障で,濾過手術の術後に顕著な網膜動脈の狭細化があった症例を経験したので報告する。
症例は受診当時43歳の女性。20歳の頃から原発開放隅角緑内障で近医に通院していた。左眼の高眼圧と視野狭窄の進行があり,紹介され受診した。初診時眼圧は右17mmHg,左41mmHgで,Humphrey視野計のMD値は右−1.0dB,左−10.7dBであった。動脈径は左右眼ともに同程度と思われたが,左緑内障濾過手術を行ったところ眼圧が5mmHgに低下すると同時に左の網膜動脈だけが顕著に狭細化した。この変化は8か月後にも観察された。
緑内障の進行とともに網膜動脈径が狭細化するとの報告が複数あり,また高眼圧は動脈を拡張するとの報告があることから,今回の症例では,鋭敏にautoregulationが働いた結果,高眼圧のときは動脈が拡張して右眼と同程度になり,術後は進行した緑内障相応の径にまで狭細化したものと思われた。
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