原著
下直筋鼻側移動術における上下偏位矯正量別の手術効果
太根 ゆさ
1
,
林 孝雄
1,2
,
寺内 岳
1
,
松本 浩一
1
,
越智 正登
1
,
溝田 淳
1
1帝京大学医学部眼科学講座
2帝京大学医療技術学部視能矯正科学科
キーワード:
下直筋鼻側移動術
,
回旋斜視
,
上斜筋麻痺
,
下直筋後転術
,
手術矯正効果
,
下眼瞼下垂
Keyword:
下直筋鼻側移動術
,
回旋斜視
,
上斜筋麻痺
,
下直筋後転術
,
手術矯正効果
,
下眼瞼下垂
pp.963-968
発行日 2018年9月5日
Published Date 2018/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000785
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目的
当科では上下直筋の短縮・後転において,上下偏位に応じて積極的に大量移動を行っている。今回,上斜筋麻痺における下直筋鼻側移動術の,上下矯正量別の回旋矯正効果,上下矯正効果を検討した。
方法
対象は2010年10月から2016年1月までに,下直筋後転+鼻側移動術を施行し1年以上経過を追えた42症例である。併用する下直筋の後転量が5mm未満と5mm以上の群に分け,各群における鼻側移動1筋幅あたりの回旋矯正効果(回旋変化,°/幅)と,後転1mmあたりの上下偏位矯正効果(上下変化,°/mm)を調べ,2群間で比較した。斜視角は大型弱視鏡で測定し,術直後,術後3か月,術後1年の眼位を検討した。
結果
術後1年の第一眼位において回旋変化は5mm以上群で7.7±5.3(以下,単位°),5mm未満群で6.1±2.8,上下変化は各々1.4±1.0,1.5±1.3であった。回旋変化は5mm以上群において,術直後よりも術後1年で有意に増加した。上下変化は両群ともに,術直後よりも術後1年で有意に増加した。下方視眼位で,回旋変化は各々6.6±5.3,7.1±10.7,上下変化は各々1.1±0.8,1.9±0.9で,全結果において,両群に有意差はなかった。
結論
下直筋後転5mm以上の矯正でも,通常行われる4mm程度までと同様の矯正効果が見込める。下直筋後転+鼻側移動術では,術直後よりも術後1年で上下,回旋ともに矯正効果が増加する可能性がある。
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