論究
大腿骨近位部骨折患者の全身的合併症
越智 龍弥
1
,
中野 哲雄
,
山内 達朗
,
稲葉 大輔
,
安岡 寛理
,
中原 潤之輔
1公立玉名中央病院 整形外科
キーワード:
胸部X線診断
,
Glycosylated Hemoglobin A
,
股関節部骨折
,
内固定法
,
酸素吸入療法
,
術後合併症
,
心エコー図
,
心臓疾患
,
超音波診断
,
大腿骨頸部骨折
,
糖尿病
,
肺炎
,
発生率
,
輸血
,
治療成績
,
静脈血栓症
,
肝機能障害
,
腎機能障害
,
治療までの期間
,
患者重症度
,
Creatinine Clearance
Keyword:
Blood Transfusion
,
Diabetes Mellitus
,
Echocardiography
,
Fracture Fixation, Internal
,
Femoral Neck Fractures
,
Heart Diseases
,
Hemoglobin A, Glycosylated
,
Hip Fractures
,
Oxygen Inhalation Therapy
,
Pneumonia
,
Postoperative Complications
,
Radiography, Thoracic
,
Ultrasonography
,
Incidence
,
Treatment Outcome
,
Venous Thrombosis
,
Hepatic Insufficiency
,
Renal Insufficiency
,
Patient Acuity
,
Time-to-Treatment
pp.609-615
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00767.2016332495
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2014年1~12月の1年間に治療した50歳以上の大腿骨近位部骨折171症例(男性24例、女性147例、年齢51~100歳、平均年齢84.3歳)を対象に、急性期における問題点について検討した。治療法は観血的治療が160例、保存的治療が11例であり、骨折型は大腿骨転子部骨折が87例、大腿骨頸部骨折が77例、大腿骨頸基部骨折が7例であった。その結果、1)入院時において肝機能は正常が96.5%、軽度の障害や中等度の障害が各1.8%であった。また、腎機能は156例において正常あるいは軽度障害が32.1%、中等度障害が44.9%、高度障害が23.1%、末期腎障害が9例(5.8%)であった。2)胸部X線像による呼吸器所見は正常が81.7%、肺炎疑いが14.8%(うち13例で肺炎と確定診断)、結核疑いが6例(うち1例が活動性肺結核)であった。一方、糖尿病既往例は21.6%でコントロール不良例が8例(4.8%)あり、心エコーにて左室駆出率は正常が94.4%、中等度障害が4.9%、重度障害が0.6%であった。3)輸血は観血的治療例で40.0%、保存的治療例で36.4%に施行され、不安定型大腿骨転子部骨折では65.0%と多かった。4)深部静脈血栓は術前より19.1%に発症しており、術前の急変を7例(4.1%)に認められた。尚、心不全の増悪が4例と最も多かった。以上より、待機期間を短くすることは大腿骨近位部骨折では大切であるが、必要な検査や処置は速やかに施行すべきであると考えられた。
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