症例
鑑別診断に難渋したcrowned dens syndromeの2例
若杉 正嗣
1
,
保坂 登
,
大塚 寛
,
荒井 勝光
,
小泉 雅裕
1新潟県立中央病院 整形外科
キーワード:
Calcium Pyrophosphate
,
C-Reactive Protein
,
Hydrocortisone
,
X線診断
,
筋疾患
,
MRI
,
鑑別診断
,
X線CT
,
非ステロイド系抗炎症剤
,
Meropenem
,
Crowned Dens症候群
,
頸長筋
,
脊椎炎-化膿性
Keyword:
Calcium Pyrophosphate
,
Anti-Inflammatory Agents, Non-Steroidal
,
C-Reactive Protein
,
Diagnosis, Differential
,
Hydrocortisone
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Muscular Diseases
,
Radiography
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Meropenem
pp.617-620
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00767.2016332496
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症例1(81歳女性)。後頸部痛と可動域制限を主訴に受診となった。CTでは軸椎歯突起周囲に石灰化像を認め、Crowned dens syndromeが疑われたが、髄膜穿刺では髄膜炎は否定的であった。また、MRI矢状断では椎体前方の後咽頭腔にT1強調像で低信号、T2強調像で高信号の炎症浮腫像が認められた。耳鼻科にコンサルトしたところ、中咽頭周囲に粘膜浮腫がみられるものの腫瘍形成はなかった。耳鼻科へ入院後、頸長筋炎の診断でステロイド+抗生剤の点滴治療を行うことで徐々に頸部痛の軽減がみられ、退院となったが、1ヵ月後の再診時、MRIでC3/4の終板と椎体の破壊がみられ、頸椎化膿性脊椎炎と診断された。以後、抗生剤の内服は継続し、2ヵ月間にわたり頸椎体外固定具で保存療法が行われた。その結果、圧潰椎体は安定化し、退院5ヵ月目の単純X線像ではC3/C4椎体の癒合が確認された。症例2(71歳男性)。胆管細胞癌治療のため入院中に発熱と頸部痛が出現した。MRIでは矢状断で後咽頭腔にT1強調像で低信号、T2強調像で高信号の炎症浮腫像が認められ、耳鼻科にて頸長筋炎と診断された。そこで、ステロイド+抗生剤の点滴治療を行ったところ、頸部痛は4日目には消失し、10日後にはCRPも陰性化した。以後、初回MRIから2週間経過のMRIでは頸長筋に沿った炎症は改善し、椎間板と椎体破壊は認めず、6週後のCTでは歯突起周囲の石灰化は発症時より縮小していた。
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