特集 右心不全を考える
治す 三尖弁逆流の外科的治療は行うべきか
泉谷 裕則
1
1愛媛大学 大学院医学系研究科心臓血管・呼吸器外科学
キーワード:
右心室機能
,
再手術
,
再発
,
三尖弁
,
三尖弁閉鎖不全症
,
心臓カテーテル法
,
心拍出量
,
最小侵襲手術
,
診療ガイドライン
,
治療成績
,
人工弁置換術
,
三尖弁形成術
Keyword:
Cardiac Output
,
Cardiac Catheterization
,
Reoperation
,
Recurrence
,
Tricuspid Valve
,
Tricuspid Valve Insufficiency
,
Ventricular Function, Right
,
Treatment Outcome
,
Practice Guidelines as Topic
,
Minimally Invasive Surgical Procedures
,
Heart Valve Prosthesis Implantation
pp.48-53
発行日 2018年1月9日
Published Date 2018/1/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018088787
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三尖弁逆流(tricuspid regurgitation:TR)は、僧帽弁や大動脈弁疾患に合併することが多く、これらは二次性(機能性)TRである。そのため三尖弁手術の95%は僧帽弁や大動脈弁との複合弁手術である。二次性TRは右心負荷に伴う弁輪拡大により生じるため、弁輪縫縮を主な手技とする三尖弁形成術が行われる。弁置換術は4%と少なく殆どが弁形成術である。二次性TRは術後に軽快すると考えられていたが増悪する症例があることから、再手術リスクを回避するために僧帽弁手術時の積極的な三尖弁形成術が行われている。手技には縫合糸や人工弁輪を用いた弁輪縫縮があるが、後者では正常な弁輪構造を再現できるものもあり良好な成績が得られている。僧帽弁手術時に三尖弁形成術を行っても、術前から三尖弁輪拡大や肺高血圧を伴う症例などでは遠隔期にTRが再発することがある。また左心系弁膜症がなくても右心不全の進行に伴いTRが増悪する症例では内科治療に抵抗性のことがある。このような一次性TRの手術適応については、右心不全が強い場合は手術リスクが増大するため右室機能が保たれている段階での手術を考慮する必要がある。再手術や手術リスクの高い症例では、心拍動下手術、弁尖拡大を追加した弁形成術、弁尖や腱索を温存した弁置換術、胸骨正中切開を避けた右開胸による低侵襲手術などの工夫が行われる。
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