特集 一人の診察であわてないために!病状と検査結果から導き出す確定診断のコツ
救急外来(急性冠症候群) rule-in 急性冠症候群患者でのトロポニン検査の使い方 高感度の時代になって何が変わったのか?
前田 美歌
1
,
民田 浩一
1西宮渡辺心臓・血管センター 循環器内科
キーワード:
Troponin
,
病院救急医療サービス
,
アルゴリズム
,
急性冠動脈症候群
Keyword:
Algorithms
,
Emergency Service, Hospital
,
Troponin
,
Acute Coronary Syndrome
pp.29-34
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018029933
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52歳,男性。 現病歴: 仕事中に胸痛を自覚し,職場近くの病院を受診。血液検査,心電図問題なく,帰 宅。同日,就寝中に再度胸痛が出現し,1時間後に当院受診。受診時,胸部症状は 改善し,心電図上有意な変化なく(図1),血液検査ではクレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)171U/Lと上昇を認めないものの,高感度トロポニンⅠのみ強陽性 (4273.6pg/mL)であった。急性冠動脈症候群の診断にて緊急冠動脈造影を行い, 左前下行枝♯7に完全閉塞を認めた(図2)。 経過: 同部位に対し経皮的冠動脈形成術を施行し,早期の血行再建介入よりピークCKは 543 IU/Lに留まり,心不全などの合併なく早期の退院となった。 考察: 本症例において,心電図および従来の心筋逸脱酵素のみの判断であれば,血行再建 介入の遅れを生じ,まったく異なる臨床経過を辿ったのではないかと背筋が凍った 一例であった。
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