特集 循環器疾患における栄養管理・食事指導を識る
診る 循環器疾患患者における栄養評価の実際
鈴木 規雄
1
,
木田 圭亮
,
明石 嘉浩
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 循環器内科
キーワード:
Cholinesterases
,
Serum Albumin
,
栄養状態
,
栄養評価
,
エネルギー代謝
,
食欲不振
,
心臓血管疾患
,
心不全
,
浮腫
,
身体組成
,
BMI
,
栄養管理
,
栄養失調
Keyword:
Anorexia
,
Body Composition
,
Cardiovascular Diseases
,
Cholinesterases
,
Edema
,
Energy Metabolism
,
Heart Failure
,
Nutritional Status
,
Serum Albumin
,
Nutrition Assessment
,
Body Mass Index
,
Malnutrition
,
Nutrition Therapy
pp.575-582
発行日 2017年6月9日
Published Date 2017/6/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017260959
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栄養障害を有する患者に対して,栄養状態の改善や維持を目的とした栄養療法の適応を判断するために,栄養評価は不可欠である。しかし,循環器疾患に限らず,栄養障害の診断において単一の普遍的な診断基準というものは存在しない。ひとえに栄養障害といっても,エネルギー摂取量不足を意味する場合や代謝動態の変化に伴う蛋白合成能低下を指す場合,あるいは栄養過剰を指す場合もある。そのため,多数存在する栄養評価法は,予後予測指標として用いられるだけではなく,多岐にわたる栄養障害の種類や程度の診断,栄養状態の改善を目指した介入方法の決定なども目的としていることを理解する必要がある。実際の臨床において多く問題となるのは,疾患に伴う低栄養である。合併疾患が多い心不全では低栄養に陥るリスクが高く,低栄養は心不全治療や心臓リハビリテーションの進行の遅れに繋がり,予後を悪化させる一因となる。また,心疾患の予防管理上はカロリー摂取制限や減量を目標にするが,たちまち心不全に至るとbody mass index(BMI)の高い患者のほうが生命予後は良好である,いわゆる"obesity paradox"を認める。これは,心不全における低栄養が予後不良であることを示している。低栄養は適切な管理や介入によって改善を得られるため,早期に心不全の低栄養を診断し介入につなげることは重要である。一方,心不全では循環血漿量の変動やそれに伴う体重変化,合併疾患により複雑な病態に陥るため栄養評価がしばしば困難となる。本稿では,循環器疾患のうち,特に心不全患者における低栄養に対する栄養評価法について概説する。
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