特集 循環器疾患における栄養管理・食事指導を識る
識る 高齢循環器疾患における栄養食事療法
府川 則子
1
,
金丸 晶子
1女子栄養大学 栄養学部
キーワード:
栄養状態
,
危険因子
,
減塩食
,
食事療法
,
食品中のタンパク質
,
心臓血管疾患
,
摂食
,
肥満
,
やせ
,
高齢者
,
BMI
,
栄養失調
,
個体差
Keyword:
Aged
,
Cardiovascular Diseases
,
Diet, Sodium-Restricted
,
Dietary Proteins
,
Diet Therapy
,
Eating
,
Obesity
,
Nutritional Status
,
Risk Factors
,
Thinness
,
Body Mass Index
,
Malnutrition
pp.612-616
発行日 2017年6月9日
Published Date 2017/6/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017260964
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高齢者では,過剰栄養と低栄養はいずれも病態悪化の危険因子となる。循環器急性期治療では,循環動態や呼吸の管理が必要な場合,一時禁食とすることが多い。急性期治療が順調に進み,速やかに栄養投与が開始される場合は栄養は問題とならないことが多い。しかし,治療に時間がかかる場合や,慢性の病態が背景にある場合(心筋虚血・弁膜症・心筋症・心房細動などによる慢性心不全状態,炎症の持続など)は,禁食期間の延長,嚥下状態の悪化などをきたし,低栄養が進みやすい。さらに,低栄養は治療抵抗性の原因となり,治療と栄養の負のスパイラルに陥る。このような高齢患者では,栄養摂取を含め自立が難しく,適切な介護・ケアが必要となってくる。また,独居の高齢者では,服薬アドヒアランスと同様に,栄養アドヒアランスも重要となる。高齢になるほど,個人差が大きくなることから,個々の高齢者の状態(社会面,身体面,認知面など)を把握したうえで,継続可能な栄養食事療法を適切な時期に行うことが求められる。過剰栄養については,脂質異常症・耐糖能障害・肥満・血圧高値などの問題を引き起こし,予防医学の観点からも重要であるが,今回は,低栄養に焦点を当てて解説する。
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