特集 DOACの常識・非常識-抗血栓療法新時代に向けて-
治す 高齢者に対するDOAC使用の注意点
山下 武志
1
1心臓血管研究所
キーワード:
抗凝固剤
,
死亡率
,
出血
,
心房細動
,
ドラッグモニタリング
,
Apixaban
,
Dabigatran
,
Rivaroxaban
,
Edoxaban
Keyword:
Dabigatran
,
Rivaroxaban
,
Anticoagulants
,
Atrial Fibrillation
,
Hemorrhage
,
Mortality
,
Drug Monitoring
,
Apixaban
,
Edoxaban
pp.60-66
発行日 2017年1月9日
Published Date 2017/1/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017113623
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高齢化が進んだ日本で,心房細動患者の過半数は75歳以上の後期高齢者であり, DOAC投与の目的である心房細動に伴う心原性脳梗塞は75歳以上になって初め てラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞の頻度を上回る。このことを知れば,心 房細動による脳卒中予防の主たる対象者は,75歳以上の後期高齢者,特に80, 85歳以上の超高齢者となるべきである。従って,ワルファリンより使用や管理 が簡便であるという点で優れるDOACは,後期高齢者や超高齢者に広く用いられ てこそ,初めてその存在意義がある。しかし,現実はむしろその逆かもしれない。 現状で,DOACはむしろ中高年や前期高齢者に広く用いられる一方で,75歳以 上の高齢になればなるほど用いられにくい傾向がある。このことは,いまだ DOACが本来果たすべき役割を担えていないこと,まだ十分に熟した果実となっ ていないことを示している。
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