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脳卒中で抗凝固療法を行っている場合に注意しなければならない薬物相互作用 は,抗てんかん薬との併用である。ワルファリン内服中の心原性脳塞栓症が症候 性てんかんを併発し,カルバマゼピン(テグレトール®)を併用した途端,ワルファ リンが効かなくなって苦労することがある。ワルファリンと従来の抗てんかん薬 との“相性の悪さ”はよく知られている。 ワルファリンは多くの薬剤との薬物相互作用があり,また食品も制限が必要で あった。ワルファリンの問題点を解決するために直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)が登場してきた。DOACは食品の影響はまずなく, また薬物相互作用も少ないという利点があるが,一方で薬効がモニターできない という欠点がある。ワルファリンはプロトロンビン時間国際標準比 (prothrombin time-international normalized ratio:PT-INR)でモニターで き,薬物相互作用を知らない場合でもPT-INRが教えてくれる。DOACは便利で はあるが,薬物相互作用を知らないと効果が減弱したり,増強したりして,本来 の薬効を発揮できない。DOACは,薬剤の特徴,禁忌,慎重投与,薬物相互作用, 減量基準について熟知しておく必要があり,勉強しないと使えない薬剤である。 なお静脈血栓塞栓症の治療および再発予防の場合,エドキサバンは減量規定(非 弁膜症性心房細動[non-valvular atrial fibrillation:NVAF]と同じ)があり初期 治療と維持治量が同じ用量だが,リバーロキサバンとアピキサバンは減量規定が なく,初期治療は維持治療の倍の投与量となっている。
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