特集 DOACの常識・非常識-抗血栓療法新時代に向けて-
識る 心原性脳塞栓症予防における病診連携
阿部 芳久
1
1秋田県立脳血管研究センター 循環器内科
キーワード:
抗凝固剤
,
心房細動
,
紹介と相談
,
脳塞栓症
,
医薬品適正使用
,
病診連携
Keyword:
Anticoagulants
,
Atrial Fibrillation
,
Referral and Consultation
,
Intracranial Embolism
pp.54-59
発行日 2017年1月9日
Published Date 2017/1/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017113622
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心房細動(atrial fibrillation;AF)は日常診療で診察する機会の多い不整脈であ る。日本循環器学会の疫学調査では,その有病率は年齢とともに増加することが 示され,近い将来1%を超えることが予想されている1)。未曾有の高齢化が進む 現在,AFはcommon diseaseの1つと位置付けられ,循環器科医師のみならず すべての診療科医師が遭遇する可能性のある疾患である。従ってAFは循環器疾 患ではあるものの,そのすべてを循環器科医師が診療することは不可能であり, 地域医療における効率的な医療提供が必要となる。病診連携は,地域医療におい て核となる病院と地域内の診療所が行う連携であり,必要に応じて患者を診療所 から専門医や医療設備の充実した病院に紹介し,治療方針の確定した患者は元の 診療所で診療を継続する仕組みである。AFによる心原性脳塞栓症予防において, この仕組みを十分に活用することにより人的にも医療経済的にも効率のよい医療 を提供できると考えられる。以前勤務していた秋田県成人病医療センター(医療 法人解散により平成27年3月に閉院)は,平成24年度の紹介率が87 . 3%,逆紹 介率が99 . 9%と病診連携を設立理念とした病院であった。本稿では,前病院の 経験も踏まえてこれまで実際に行ってきた病診連携について述べたい。
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