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4.肺高血圧症/肺血栓塞栓症
4.肺動脈性肺高血圧症が疑われ紹介となった高齢肺高血圧症例
杉村 宏一郎
1
1国際医療福祉大学成田病院循環器内科
キーワード:
postcapillary PH
,
輸液負荷試験
,
左心系心疾患による肺高血圧症
Keyword:
postcapillary PH
,
輸液負荷試験
,
左心系心疾患による肺高血圧症
pp.138-142
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.18885/HV.0000000371
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70 歳代,女性。慢性関節リウマチでタクロリムス+プレドニンで加療,3 年前よりTNF α阻害薬で治療されていた。4 カ月前より息切れの増悪が出現したため,心エコー図検査を行ったところTRPG 39mmHg と上昇を認めたため肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)疑いで紹介となった。下腿浮腫があり,ループ利尿薬で治療後は改善を認めた。高血圧,慢性関節リウマチ,高脂血症の治療歴がある。入院時心エコー図検査では中隔壁,後壁ともに13mmと左室肥大を認め,左房は42mm と拡大を認める。有意な弁膜症はない。明らかな右室の拡大は認めない。EF(Simpson 法)74%と収縮不全はなく,E/A 0.9 DcT 240,中隔E/e’16.0 であった。TRPG 42mmHg と上昇を認めた。CT では両下肺野に軽度の間質性肺炎の所見を認めた。呼吸機能検査では,% VC 85%,FEV1.0% 75%と正常範囲内であった。心臓カテーテル検査では,PAWP12mmHg,PAP 46/14(25)mmHg,RAP(8)mmHg,CO 3.5L/ 分,PVR 3.7Wood 単位とprecapillary PH の血行動態であった。生理食塩水500mL を5 分で急速輸液したところ,PAWP20mmHg,PAP 50/22(31)mmHg,RAP(14)mmHg,CO 3.6L/ 分,PVR 3.05Wood 単位とpostcapillary PH の要素が顕著化した。
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