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[第14回]
心筋SPECTで同定困難なバランス型虚血の実臨床での頻度と特徴とは?
福島 賢慈
1
1福島県立医科大学 放射線医学講座
pp.1090-1091
発行日 2023年9月26日
Published Date 2023/9/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000001416
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バランス型虚血は診断困難なため重要なピットフォールとなる。本研究では,症候性の冠動脈疾患を疑われ冠動脈CTを施行した758名から,狭窄病変を有した286名に対して負荷心筋血流15O–water PETを行い,灌流像で相対的虚血所見を得ることが困難な重症冠動脈症例について検討した。286名中46名(16%)で3枝領域に負荷時心筋血流低下がみられ,その46名中33名(72%)で灌流像に有意な相対的虚血所見が得られ,13名(28%)で相対虚血所見が検出できない“バランス型虚血”であった(PET施行に至った286名中4.6%,冠動脈CTをinitial testingとすれば758名中1.7%)。また,バランス型虚血を呈する症例は,冠動脈CTで石灰化スコアが有意に高値であった(中央値595)。しかしながら,バランス型虚血と判定された症例のうち3枝病変は半数であった。
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