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重度股関節形成不全に対する同種骨移植を併用した寛骨臼移動術の術後成績
Clinical results of periacetabular osteotomy with structural bone allograft for the treatment of severe hip dysplasia
藤井 政徳
1
M. Fujii
1
1佐賀大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, Saga University, Saga
キーワード:
hip dysplasia
,
periacetabular osteotomy
,
transposition osteotomy of the acetabulum
Keyword:
hip dysplasia
,
periacetabular osteotomy
,
transposition osteotomy of the acetabulum
pp.871-874
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_871
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【要 旨】
目 的:本研究の目的は,重度の股関節形成不全に対する塊状同種骨移植を併用した寛骨臼移動術(transposition osteotomy of the acetabulum:TOA)の臨床成績を明らかにすることである.
対象および方法:1998~2019年に,重度股関節形成不全(lateral center-edge angle<0°)に対して塊状同種骨移植併用TOAを行った64例(76股関節)を対象とした.患者背景,術後合併症,modified Harris Hip Score(mHHS),術前および術後X線学的パラメータを検討した.Kaplan–Meier曲線を用いて,Tönnis分類grade 3への進行または人工股関節全置換術をエンドポイントとした累積関節温存率を算出し,多変量Cox比例ハザードモデルを用いて予後予測因子を検討した.
結 果:追跡期間中央値は10(2~19)年であった.mHHSの中央値は,術前67(37~100)から最終観察時では96(52~100)に改善した(p<0.001).X線学的パラメータは術後に改善し(p<0.001),42~95%の股関節で正常範囲内となった.累積関節温存率は術後10年で95%,15年で80%であり,術前Tönnis分類grade 2が独立した予後予測因子であった.
結 論:同種骨移植を併用したTOAは,進行した変形性股関節症のない若年成人の重度股関節形成不全に対する有効な治療選択肢であることが示唆された.
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