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人工股関節全置換術におけるカップの高位設置は可動域を減少させるか
-――シミュレーションスタディ
Does high hip center decrease range of motion in total hip arthroplasty?;a computer simulation study
小宮山 敬祐
1
K. Komiyama
1
1九州大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, Fukuoka
キーワード:
high hip center
,
hip dysplasia
,
ROM
,
THA
Keyword:
high hip center
,
hip dysplasia
,
ROM
,
THA
pp.85-89
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_85
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【要 旨】
目 的:人工股関節全置換術(THA)において,シミュレーションでカップ設置高位が可動域(ROM)に与える影響を検討することである.
方 法:Crowe分類type Ⅱもしくはtype Ⅲの片側性の変形性股関節症32例を対象とし,シミュレーションソフト(Zedhip:Lexi社,東京)を用いて解析を行った.涙痕間線~骨頭中心の垂直距離(vertical center of rotation:V-COR)の平均値15mmを原臼位とした.原臼位よりカップを内板に沿わせ5mmずつ45mmまで上方化し,それぞれの高位におけるカップcenter edge(CE)角となんらかのインピンジメントまでのROMを計測した.
結 果:原臼位でカップCE角0°以上を満たす症例はわずか40.6%であり,V-COR 35mmまで割合は増加し,40mm以上では逆に減少した.屈曲・内旋は上方化するほどROMは減少し,伸展・外旋では上方化の影響は少なかった.
結 論:カップの原臼位設置では十分な骨性被覆を得られず,高位設置せざるをえない状況がある.V-COR 35mm以上の高位設置になるほど屈曲・内旋でROMは減少した.高位設置の許容範囲はROMの観点からV-COR 35mm程度である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018