Japanese
English
論説
寛骨臼骨切り術の術前予後予測スコアリングシステムにおける妥当性
Validity of the pre-operative predictive scores for the outcome of eccentric rotational acetabular osteotomy
天野 貴文
1
,
関 泰輔
2
,
竹上 靖彦
2
,
室谷 健太
3
,
長谷川 幸治
4
T. Amano
1
,
T. Seki
2
,
Y. Takegami
2
,
K. Murotani
3
,
Y. Hasegawa
4
1静岡厚生病院整形外科
2名古屋大学大学院整形外科
3久留米大学バイオ統計センター
4関西福祉科学大学リハビリテーション学科
1Dept. of Orthop. Surg., Shizuoka Welfare Hospital, Shizuoka
キーワード:
eccentric rotational acetabular osteotomy
,
periacetabular osteotomy
,
scoring system
,
pre-operative prediction
,
validity
Keyword:
eccentric rotational acetabular osteotomy
,
periacetabular osteotomy
,
scoring system
,
pre-operative prediction
,
validity
pp.1333-1338
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1333
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は じ め に
寛骨臼骨切り術は疼痛を有する寛骨臼形成不全に伴う前・初期関節症に対する治療法の一つであり,寛骨臼を骨切りし移動させ荷重面を水平化し,荷重範囲を広げることで軟骨への負担を減らし関節を安定化させる術式である.近年,寛骨臼骨切り術の20年以上の経過観察による長期成績が報告されるようになり1~5)良好な臨床成績を示している.
一方で,良好な長期成績を獲得するためには適切な患者に寛骨臼骨切り術を提案することが重要である.そのためには,① 手術のよい適応となる患者を早期に発見すること,② 各患者が術後に良好な成績が期待できるか検討し手術の是非を適切に判断することが求められる.
名古屋大学医学部附属病院整形外科(以下,当科)では1989年以降,寛骨臼骨切り術の一つである偏心性寛骨臼回転骨切り術(eccentric rotational acetabular osteotomy:ERAO)を行っており,現在まで良好な長期成績を報告してきた1).この症例群をもとに良好な術後成績を獲得するための条件を検討し,単変量・多変量解析をもとに手術成績に影響する術前の因子を4~5つ抽出し,それらを用いて術後成績を予測するスコアリングシステムを作成した6,7).これらのスコアリングシステムは十分な内的妥当性を有することが確認されているが,外部データを用いた解析結果からの妥当性(外的妥当性)も有するか検討しておらず,新規に確認することが重要と考えた.
本稿では当科で報告した寛骨臼骨切り術に対する術後予後予測スコアリングシステムの外的妥当性について検討し報告する.
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