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転移性脊椎腫瘍に対する姑息的手術における術後成績不良の危険因子
Risk factors for poor outcome after palliative surgery for metastatic spinal tumors
鈴木 亨暢
1
A. Suzuki
1
1大阪公立大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Osaka Metropolitan University, Osaka
キーワード:
spinal metastasis
,
palliative surgery
,
ADL
,
risk factor
,
hemoglobin
,
Tokuhashi score
Keyword:
spinal metastasis
,
palliative surgery
,
ADL
,
risk factor
,
hemoglobin
,
Tokuhashi score
pp.866-870
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_866
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【要 旨】
目 的:転移性脊椎腫瘍に対する姑息的手術は症状緩和や日常生活動作(ADL)の改善を目的として行われるが,意図した効果が得られないことも少なくない.本研究の目的は,転移性脊椎腫瘍に対し姑息的手術を行った症例における成績不良に関する危険因子を調査することである.
対象および方法:当院で転移性脊椎腫瘍に対し姑息的手術を行った117例を後ろ向きに調査した.術前後で歩行状態/麻痺が改善もしくは術前歩行能力を維持できた症例を成績良好例,歩行状態/麻痺が悪化もしくは改善しなかった症例および入院中の死亡例を成績不良例と定義した.成績良好例および不良例の2群に分け,種々の因子について単変量解析および多変量ロジスティック回帰分析を行った.
結 果:術前麻痺を認めた91例中44例(48%)で術後神経麻痺の改善がみられ,術前歩行障害のあった95例中67例(71%)に歩行機能の改善が認められた.一方で7例(6%)が術後1ヵ月以内に死亡し,最終的に21例(18%)の症例は成績不良と判断された.多変量解析の結果,術前ヘモグロビン低値,および改訂徳橋スコア低値が成績不良の危険因子であることが判明した.
結 論:本研究の結果,転移性脊椎腫瘍に対する姑息的手術では約18%に成績不良例が存在し,術前ヘモグロビン低値や改訂徳橋スコア低値が危険因子であることが判明した.これらの因子を有する症例では,より慎重に手術適応を決定し,術後改善不良や死亡の可能性について十分説明する必要があると考えられる.
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