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は じ め に
サルコペニアは筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群1)で,臨床症状や質問紙(strength, assistance in walking, rise from chair, climb stairs, falls:SARC-F),握力または立ち上がり速度,骨格筋量から診断する2).サルコペニアは転倒や骨折の危険因子で,機能障害や予後に大きな影響を及ぼす1).運動と栄養の介入がサルコペニアに対する治療方法3)とされている.
大腿骨近位部骨折患者の管理は多職種チームで行われているが,多くの病院では患者のサルコペニアの診断は困難で,多職種チームによる術後管理に利用されていない.その理由の一つに,骨格筋量の測定の困難さがある.骨格筋量は二重エネルギーX線吸収法(dual energy X-ray absorptiometry:DXA),または生体電気インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis:BIA)などの機器が必要で,これらの機器がないと,骨格筋量の測定ができず,ほかの代用方法が必要となる.DXAやBIAなどの機器による骨格筋量測定のかわりに,CT上の大腰筋面積から計測する大腰筋指数で骨格筋量減少を推定する方法が報告4)されている.握力検査とともに特別な機器を使用しない方法で骨格筋量の測定が可能になれば,サルコペニア合併大腿骨近位部骨折患者に対する術後の特別な栄養・リハビリテーション介入が可能となる.本研究では,大腿骨近位部骨折患者の入院時の骨折診断に使用するCTから計測した大腰筋指数を利用して,骨格筋量減少の頻度とその関連因子を検討した.
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