Japanese
English
問題点の検討
大腿骨近位部骨折早期手術のボトルネックと改善策
Remedy for bottlenecks in early surgery for hip fracture patients
植木 正明
1
,
深澤 高広
2
,
伊藤 達也
2
,
伊藤 淳
2
,
大内 聖士
2
,
佐藤 啓三
2
M. Ueki
1
,
T. Fukazawa
2
,
T. Ito
2
,
J. Ito
2
,
K. Ouchi
2
,
K. Sato
2
1西脇市立西脇病院麻酔科
2西脇市立西脇病院整形外科
1Dept. of Anesthesiology, Nishiwaki Municipal Hospital, Nishiwaki
キーワード:
hip fracture
,
early surgery bottleneck
Keyword:
hip fracture
,
early surgery bottleneck
pp.776-779
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_776
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は じ め に
欧米では整形外科医と老年病科医が大腿骨近位部骨折患者を共同管理し,集学的管理プログラムにより入院後36時間から48時間以内の早期手術をめざしている1).一方,わが国の多くの病院では内科医は集学的管理に参画せず,整形外科医は単独で術前評価・管理を行う.合併症があれば内科に手術耐容・管理を含めた診察依頼後に麻酔申し込みを行う.麻酔科は術中麻酔管理だけを行い,術前評価・管理には参画しない.その結果,わが国のガイドライン2)では手術までの待機期間が長くなると報告されている.
当施設での大腿骨近位部骨折の手術遅延要因の検討3)では,合併症の内科診察依頼による遅延や手術室確保の問題が早期手術のボトルネックとなっていた(図1).当施設では麻酔科医が欧米の老年病科医のように,大腿骨近位部骨折患者の全身状態の評価・管理に参画し,麻酔科医が作成した手術決定アルゴリズム4)を,整形外科医が内科診察に頼らないで早期手術が可能な患者を選定できる集学的管理システムの一環として導入した.整形外科医と麻酔科医による大腿骨近位部骨折患者の共同管理が早期手術に及ぼす影響を従来の整形外科医単独管理と比較・検討したので報告する.
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