Japanese
English
論説
大腿骨近位部骨折手術後のせん妄発症の危険因子としての大腰筋量
Psoas muscle mass as a risk factor for postoperative delirium in patients undergoing hip fracture surgery
植木 正明
1
,
深澤 高広
2
,
大内 聖士
2
M. Ueki
1
,
T. Fukazawa
2
,
K. Ouchi
2
1西脇市立西脇病院麻酔科
2西脇市立西脇病院整形外科
1Dept. of Anesthesiology, Nishiwaki Municipal Hospital, Nishiwaki
キーワード:
hip fracture
,
delirium
,
postoperative
,
psoas muscle mass
Keyword:
hip fracture
,
delirium
,
postoperative
,
psoas muscle mass
pp.101-103
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_101
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は じ め に
せん妄は注意力と認知機能の急性かつ変動的な障害を特徴とし,正常から活動亢進または活動低下のいずれかの状態に急激に変化する1).大腿骨近位部骨折術後せん妄の発症率は35~65%で外科系手術の中でも高く,その高い発症率は手術の緊急性と術後合併症の増加によるものと報告2)されている.手術で入院した患者の術後せん妄は合併症,死亡率,入院期間,入院費の増加などに関係3)すると報告されている.したがって,入院時に術後せん妄の危険因子を認識し,介入することは患者の予後改善の観点からも重要である.
サルコペニアは骨格筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群4)で,骨格筋量の低下はサルコペニアのもっとも重要な診断基準5)の一つである.サルコペニアが認知機能に関係するという報告6)があるが,骨格筋量の低下とせん妄の発症率との関連性はまだ十分に解明されていない.
本稿では,大腿骨近位部骨折患者の骨格筋量と術後せん妄の関連を検討した.
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