Japanese
English
経験と考察
大腿骨近位部骨折患者に対する周術期循環管理が循環器合併症に及ぼす影響
Effect of perioperative circulatory management on cardiovascular complications in patients with hip fractures
植木 正明
1
,
深澤 高広
2
,
大内 聖士
2
M. Ueki
1
,
T. Fukazawa
2
,
K. Ouchi
2
1西脇市立西脇病院麻酔科
2西脇市立西脇病院整形外科
1Dept. of Anesthesiology, Nishiwaki Municipal Hospital, Nishiwaki
キーワード:
hip fracture
,
circulatory management
,
cardiovascular complications
Keyword:
hip fracture
,
circulatory management
,
cardiovascular complications
pp.1336-1339
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_1336
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は じ め に
大腿骨近位部骨折患者の30日死亡率は2.9~10.8%1)で,30日死亡の約1/3は心筋梗塞といった循環器系合併症によるものと報告されている2).周術期の循環器系合併症による死亡の軽減のためには,術前の循環器評価と周術期管理が重要である.非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドラインではステップワイズアプローチが推奨されている3,4).しかし,ガイドライン作成の元になる多くの主要な心血管試験では高齢者の参加が著しく少ないか,あるいは併存疾患や機能障害の少ない比較的健康な高齢者しか登録されず,現在のガイドラインでは,合併症の多い高齢者にエビデンスに基づく推奨を行うことができないとの報告がある5).その結果,従来のガイドラインによる高齢の大腿骨近位部骨折患者の術前循環器評価は限界があると考えられる.当施設では,術後の循環器系合併症,死亡の危険因子から,大腿骨近位部骨折患者に対する周術期循環管理マニュアルを作成した.
本研究では,大腿骨近位部骨折患者に対する周術期循環管理が術後の循環器系合併症および30日死亡率に及ぼす影響を検討したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2022