大腿骨近位部骨折患者の入院時の脱水症とvolume depletionの頻度

Incidence of preoperative dehydration and volume depletion in patients with hip fracture

は じ め に

　大腿骨近位部骨折患者の術前合併症には脱水症があり，英国のNational Institute for Health and Care Excellence（NICE）ガイドライン^1）では，入院時の大腿骨近位部骨折患者の脱水症は手術を延期するのではなく，脱水を補正し，手術を行うべきであると記載されている．また大腿骨近位部骨折患者は出血による細胞外液量の低下によるvolume depletion状態に陥る．Volume depletionは有効な循環血液量の減少を招き，手術中に低血圧になりやすい．術中低血圧は各臓器障害および死亡率の増加の原因となる^2）．大腿骨近位部骨折患者の術前状態最適化のためには，入院時の脱水症とvolume depletionの評価とその対策が重要となる．

　本研究では，大腿骨近位部骨折患者の入院時の脱水症およびvolume depletionの発症率を検討した．