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特集 変形性関節症の診断と治療――保存的治療から再生医療まで
Ⅱ章.変形性脊椎症関連
3.成人脊柱変形の病態と治療
Adult spinal deformities
有馬 秀幸
1
,
松山 幸弘
1
H. Arima
1
,
Y. Matsuyama
1
1浜松医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
adult spinal deformity
Keyword:
adult spinal deformity
pp.539-546
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_539
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は じ め に
近年,わが国では多方面にわたる医療技術の進歩により,飛躍的に健康寿命が延伸している.年齢とともに脊椎や椎間板の変性,椎体骨折,筋力低下などに伴い脊柱変形を生じる患者は増加している.その結果,脊柱変形に伴う腰背部痛や歩行障害・立位保持障害などの日常生活での動作障害を主訴に多くの患者が病院に訪れるようになってきている.成人脊柱変形は現代の脊椎外科分野でもっとも注目されている領域の一つで,病態解明とそれにもとづいた治療戦略が進歩している.超高齢社会のわが国では,脊柱変形を有する中高齢者は今後ますます増えていくと考えられる.成人脊柱変形は成人期に生じるあらゆる脊柱変形を含むため,その疾患スペクトラムはきわめて広い.成人脊柱変形に関連する症状は腰背部痛,下肢神経症状,歩行障害,立位保持障害,心理的影響,胃食道逆流症,呼吸機能障害などがあり,患者の生活の質(QOL)にきわめて大きく影響している.本稿では,成人脊柱変形に対する病態,診断・評価,保存・手術的治療に関して最近の知見を含めて報告する.
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