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特集 変形性関節症の診断と治療――保存的治療から再生医療まで
Ⅲ章.変形性肩関節症
1.変形性肩関節症に対する保存的治療
Conservative management for osteoarthritis of the shoulder
高瀬 勝己
1
K. Takase
1
1東京医科大学運動機能再建外科学寄附講座
1Dept. of Orthop. Surg., Tokyo Medical University, Tokyo
キーワード:
conservative management
,
OA
,
contracture
Keyword:
conservative management
,
OA
,
contracture
pp.547-550
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_547
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は じ め に
肩関節は,肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節,烏口肩峰アーチ(いわゆる第2肩関節)の三つの支持機構で構成されている.中でも上腕骨頭と肩甲骨関節窩で構成される肩甲上腕関節は狭義の肩関節とされ,同関節の軟骨が損傷され骨性要素の適合性が破壊された状態を一般的には変形性肩関節症としている.病態としては骨・関節の不適合性が主因となり,疼痛,腫脹,関節拘縮をきたすが,二次的に肩甲上腕関節を含めた肩関節全体の軟部組織障害も引き起こすことでさらに症状が悪化していく.
本疾患は,原因により,原因不明な一次性と原因が判明している二次性とに分けられる.二次性には,腱板断裂性関節症(cuff tear arthropathy:CTA),上腕骨骨頭壊死,上腕骨近位端骨折後変形治癒,関節リウマチ,化膿性疾患と多くの原因がある.二次性の原因の一つである関節リウマチに関しては,関節破壊と続発する機能障害を防ぐことが主眼となり,さまざまな薬剤が開発されている.このため,薬物療法が主体となるため,本稿では対象項目から除外することにする.以下,本疾患を一次性および二次性変形性肩関節症(特にreverse shoulder arthroplastyの使用認可および開発により積極的な手術的治療が行われているCTAについて)に分類し,特徴および保存的治療について述べる.
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