Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅷ.有害事象と対策,予防
術後せん妄予防のための術前栄養介入の効果
The effect of nutritional intervention to prevent postoperative delirium
大江 慎
1
,
大和 雄
1
,
長谷川 智彦
2
,
吉田 剛
2
,
安田 逹也
2
,
坂野 友啓
2
,
有馬 秀幸
2
,
松山 幸弘
2
S. Oe
1
,
Y. Yamato
1
,
T. Hasegawa
2
,
G. Yoshida
2
,
T. Yasuda
2
,
T. Banno
2
,
H. Arima
2
,
Y. Matsuyama
2
1浜松医科大学長寿運動器疾患教育研究講座
2浜松医科大学整形外科
1Dept. of Geriatric Musculoskeletal Health, Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
prognostic nutritional index
,
delirium
,
nutritional intervention
,
adult spinal deformity
Keyword:
prognostic nutritional index
,
delirium
,
nutritional intervention
,
adult spinal deformity
pp.188-191
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_188
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は じ め に
術後せん妄は高齢患者にときおりみられる症状であり,発症すると機能回復の低下,在院日数の延長,死亡率の上昇などにつながることが報告されている1~3).近年,せん妄発症の原因の一つとして低栄養が重要であるということが報告されている4~6).われわれも成人脊柱変形患者の栄養状態をprognostic nutrition index(PNI)を用いて評価し,術前のPNIが50未満である場合が術後せん妄の有意なリスクであるということを報告した7).PNIは1984年にOnoderaらにより報告された栄養評価の指標で,血液検査のアルブミン(g/dl)と総リンパ球数(/μl)を使って簡便に算出できる(PNI=10×アルブミン+0.005×総リンパ球数)8).Tokunagaらは参考値として直腸癌患者でPNIが45.5以上の場合5年生存率は90.5%であるのに対して,45.5未満の場合は57.8%にまで低下すると報告している9).これらの結果にもとづき,現在当科では術前にPNIが50未満の場合,手術の数ヵ月前から医師と栄養士による栄養介入を行ってから手術を行うこととしている.本稿ではその代表症例について報告する.
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