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【要 旨】
目 的:Scoliosis Research Society-22r(SRS-22r)は信頼性の高い成人脊柱変形の術後成績の評価法であり,臨床的に有意な改善と考えられるminimal clinically important difference(MCID)値が報告されている.本研究では,胸椎から骨盤までの長範囲矯正固定術を受けた成人脊柱変形患者において,術後2年時のSRS-22rのMCID達成に影響を与える要因を明らかにした.
対象および方法:2010~2016年に成人脊柱変形に対して胸椎-骨盤矯正固定術を施行し,術後2年以上経過観察した167例(男性23例,女性144例,手術時平均年齢67.5歳)を対象とした.患者因子,術前・術後2年時のX線パラメータ,SRS-22rを計測し,術後2年時にSRS-22r各領域のMCID達成に関連する因子を多変量解析で検討した.MCID値はfunction 0.90,pain 0.85,self-image 1.05,mental 0.70を用いた.
結 果:MCIDの達成率はfunction 36.5%,pain 46.1%,subtotal 44.3%であった.SRS-22r functionのMCID達成に関連する因子は術前のfunction score[オッズ比0.204,95%信頼区間(CI):0.105~0.396]であった.SRS-22r subtotalのMCID達成に関連する因子は術前subtotal score(オッズ比0.211,95%CI:0.107~0.413),術前pelvic incidence(PI)-lumbar lordosis(LL)[オッズ比0.965,95%CI:0.934~0.997],術後sagittal vertical axis(SVA)[オッズ比0.985,95%CI:0.974~0.995]であった.
結 論:成人脊柱変形における胸椎骨盤矯正固定術では,術前の健康関連生活の質(QOL)の障害が大きい患者ほどMCIDを達成する可能性が高かった.また,術後に適切なグローバル矢状面アライメントを獲得することでSRS-22rのsubtotal領域のMCIDを達成する可能性が高かった.
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