Japanese
English
特集 傍脊柱筋の機能解剖学,姿勢制御と手術アプローチ
第1章 解剖と機能
成人脊柱変形をきたす背景と原因
The Background and Cause of Adult Spinal Deformity
大江 慎
1
,
戸川 大輔
1
,
大和 雄
2
,
長谷川 智彦
2
,
吉田 剛
2
,
松山 幸弘
2
Shin OE
1
,
Daisuke TOGAWA
1
,
Yu YAMATO
2
,
Tomohiko HASEGAWA
2
,
Go YOSHIDA
2
,
Yukihiro MATSUYAMA
2
1浜松医科大学整形外科長寿運動器疾患教育研究講座
2浜松医科大学整形外科
1Division of Geriatric Musculoskeletal Health, Department of Orthopaedic Surgery, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
成人脊柱変形
,
adult spinal deformity
,
原因
,
cause
,
運動習慣
,
sporting activity
Keyword:
成人脊柱変形
,
adult spinal deformity
,
原因
,
cause
,
運動習慣
,
sporting activity
pp.307-312
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201095
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
脊柱矢状面アライメントが健康関連QOLと密接な関係をもつことが知られるようになり2,7),立位X線写真におけるアライメントの研究は数多く認められる.また,このような脊柱変形は加齢に伴い進行することが知られており,われわれは男性の脊柱変形は頸椎から生じ,女性では骨盤から生じている可能性が高いと報告した4).しかし,脊柱変形進行の原因は加齢を除いて明らかではなく,原因究明には縦断研究が必要である.われわれは愛知県北設楽郡東栄町で住民健診(TOEI study)を2012年から2年おきに行っており,全脊柱立位X線写真撮影を行っている.本稿では,TOEI study 2012と2016の全脊柱立位X線写真において脊柱変形が進行した参加者と進行しなかった参加者を比較し,脊柱変形が進行する背景と原因について男女別に報告する.ただし,TOEI studyは2014年に視線を統一するために眼前に鏡を設置した.それによってC7垂線は大きく後方へシフトしてsagittal vertical axis(SVA)は約20mm減少,また頸椎アライメント(cervical lordosis〔CL〕は10度上昇,C2-7 SVAは10mm減少,T1 slope〔TS〕−CLは10度減少)も強い影響を受けた5).その影響はTOEI study 2016でも続いているため,頸椎アライメントとSVAに関しては2012年と2016年の比較をすることは難しいということに留意する必要がある.
Copyright © 2019, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.