Japanese
English
連載 最新原著レビュー
成人脊柱変形患者における立位姿勢と歩行時の矢状面バランスの乖離
Discrepancy between standing posture and sagittal balance during walking in adult spinal deformity patients
有馬 秀幸
1
,
大和 雄
1
,
長谷川 智彦
1
,
戸川 大輔
1
,
坂野 友啓
1
,
松山 幸弘
1
H. Arima
1
,
Y. Yamato
1
,
T. Hasegawa
1
,
D. Togawa
1
,
T. Banno
1
,
Y. Matsuyama
1
1浜松医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
adult spinal deformity
,
gait analysis
,
standing posture
Keyword:
adult spinal deformity
,
gait analysis
,
standing posture
pp.85-89
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_85
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
【要 旨】
目 的:成人脊柱変形患者術前の立位矢状面アライメントと歩行時矢状面バランスを調査し,どのような症例で歩行時により体幹前傾を呈するかを検討することである.
対象および方法:2011~2013年に成人脊柱変形に対して矯正固定術を施行した93例を対象とした.平均年齢は65.0歳であった.全脊椎立位単純X線側面像で外耳孔と大腿骨頭中心を結んだ線と垂線のなす角を計測し(立位体幹前傾角),次に歩行ビデオで側面での耳介と大転子部を結んだ線と垂線のなす角(歩行時体幹前傾角)を計測した.歩行時体幹前傾角と立位体幹前傾角およびその両者の差(体幹前傾増加角)を求め,体幹前傾増加角と立位脊椎骨盤X線パラメータとの関連を調査した.
結 果:立位体幹前傾角は平均3.5°で,歩行時前傾角は平均11.1°と体幹前傾は歩行時により大きくなった.[pelvic incidence(PI)−lumbar lordosis(LL)]は体幹前傾増加角と正の相関がみられた(r=0.237,p=0.023).特にPI−LLが40°を超える患者は体幹前傾増加角が有意に大きかった.
結 論:歩行解析により,歩行姿勢と立位姿勢の矢状面における乖離は重度のPI−LLミスマッチと関連していることを明らかにした.
© Nankodo Co., Ltd., 2019