整形トピックス
膜蛋白SCAPやINSIGSによる細胞内コレステロールと脂質調節は骨・軟骨成長に関与している
津嶋 秀俊
1
,
中島 康晴
1
1九州大学整形外科
pp.786-786
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_786
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変形性関節症(OA)の特徴は,関節軟骨の変性・破壊であり,関節機能の障害や疼痛を招く.OAの軟骨変性に関与するシグナルは,内軟骨性骨化にかかわるシグナルと共通するところが多い.Hedgehog(Hh)シグナルは,骨・軟骨成長に必須の因子であると同時に,その活性化によりOA変性を引き起こす1).このHhシグナルが,OA軟骨において細胞内コレステロール(cholesterol:chol)を調節していると報告されたことは非常に興味深い2).近年,OAとメタボリックシンドロームとの関連が注目され,高chol血症などの高脂血症も膝OA増悪の誘因と考えられたが,膝OA大規模コホート研究であるROAD studyでは,高脂血症とOAとの直接的関連性は認められなかった.そこで,全身的なcholや脂質が,局所である軟骨へ及ぼす影響よりも,骨・軟骨成長,関節軟骨では,細胞内のcholや脂質調節がより重要ではないかと考え,研究を開始した3).
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