今月の主題 血清リポ蛋白の異常
リポ蛋白と脂質の代謝
コレステロールとリポ蛋白代謝
秦 葭哉
1
Yoshiya Hata
1
1慶応義塾大学医学部・内科
pp.790-795
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217734
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体内のコレステロール分布と代謝回転
体重70kgの成人の体内には,約140gのコレステロールが存在する,その体内での分布は,人によって差はあるが,表1にみるように脳脊髄神経系に32g(全体の22%),脂肪組織や結合組織に31g(22%),筋肉に30g(21%),皮膚に16g(11%),血清と血球を合わせた血液に11g(8%),肝臓に5g(4%),消化管に4g(3%),副腎に1.2g(0.8%)の割合である1).言いかえると,皮膚や脂肪組織,結合組織,筋肉などの体腔を囲む組織と四肢に約半分の54%が分布し,脳神経系に22%,心臓,肺,膵,脾,骨髄,腎,副腎などの,肝と腸を除いた体腔内臓器に8%,循環する血液に8%,腸,肝というコレステロールの吸収ないし合成臓器に7%が分布しているわけである.
これらの臓器に分布したコレステロールは,副腎と血液中と動脈硬化の起きた動脈組織にエステル型で存在するほかは,ほとんどが遊離型で存在し,各組織を構成している細胞の膜-形質膜をはじめ核膜,小胞体,ミトコンドリア,ライソゾームなどの細胞下器官のすべての膜構造の素材となっている2).
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