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特集 脊柱靭帯骨化症UP TO DATE
圧迫性頸髄症手術前後の転倒による症状悪化
Fall-related Deterioration of Neurological Symptoms in Patients Undergoing Surgical Treatment for Compressive Cervical Myelopathy
木村 敦
1
Atsushi KIMURA
1
1自治医科大学整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Jichi Medical University
キーワード:
圧迫性頸髄症
,
compressive cervical myelopathy
,
転倒
,
falls
,
神経症状悪化
,
neurological deterioration
Keyword:
圧迫性頸髄症
,
compressive cervical myelopathy
,
転倒
,
falls
,
神経症状悪化
,
neurological deterioration
pp.103-108
発行日 2020年2月25日
Published Date 2020/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201305
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はじめに
65歳以上の高齢者においては約30%が1年間に1回以上転倒し,そのうち約50%は複数回転倒することが報告されている1).転倒の20%は医療機関の受診を要する外傷をきたし,5%は骨折,脱臼などの重度の外傷に至る.こうした転倒による外傷は,高齢者の慢性的な痛みや機能低下につながる.高齢化が進行する先進国においては,転倒の結果として発生する機能障害を予防することが,年々増加する医療費,介護費の抑制という観点からも重要な課題となっている.
後縦靭帯骨化症を含む圧迫性頸髄症患者においては,下肢機能障害によって転倒のリスクが増大するだけではなく,転倒時に頸椎に加わる外力によって症状が悪化するリスクを伴う.その予防策として手術治療が勧められることが多いが,手術治療が転倒に伴う症状悪化をどの程度予防できるのかについては十分なエビデンスがない.われわれは頸髄症手術前後の転倒と転倒による症状悪化の頻度に関して,2014〜2015年に後ろ向きの研究を2),2016〜2017年に前向きの研究を実施した4).本稿ではこれらの研究成果を要約したい.
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