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成人脊椎変形に対する矯正固定術の術前危険因子に基づく合併症リスク予測モデル
Surgical risk stratification based on preoperative risk factors in adult spinal deformity
八木 満
1
M. Yagi
1
1慶應義塾大学整形外科
1Dept. of Orthop Surg., Keio University School of Medicine, Tokyo
キーワード:
adult spinal deformity
,
predictive modeling
,
complication
Keyword:
adult spinal deformity
,
predictive modeling
,
complication
pp.180-184
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_180
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【要 旨】
目 的:成人脊椎変形症(ASD)に対する矯正固定術は,患者の生活の質を向上させるが合併症の発生率が高い.これまでにいくつかの潜在的な危険因子が報告されているが,患者の周術期および術後合併症のリスクを予測することはいまだに困難である.本研究の目的は,患者の背景因子や画像所見,手術侵襲に基づいて術後合併症の予測モデルを確立することである.
対象および方法:当院で手術を受け2年以上経過したASD 151例(モデル作成群)に関して,合併症を含む背景因子および医療データを分析した.単変量解析で同定された各術後合併症のリスク因子にオッズ比に基づいた値を割り当て,すべての危険因子の値を合計して術後合併症リスクスコア(0~20)を算出した.リスクスコアを層別化し,合併症との相関を分析した.他院で手術を受けた89例のASD患者のデータを用いてモデルを検証(外部検証群)した.
結 果:合併症はモデル作成群では48%の患者に発症した.リスク因子として患者背景や手術侵襲などの10項目が同定され,オッズ比は1.4~5.4であった.作成された予測モデルは,ROC解析で検証群において良好な信頼性を示した(ROC=0.751).
結 論:ASDの術後合併症に特化した予測モデルは治療戦略を立案するのに役立つと考えられた.
© Nankodo Co., Ltd., 2021