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【要 旨】
目 的:膝前十字靱帯(ACL)損傷に合併する半月板損傷は回旋不安定性を悪化させることが疑われているが,その影響は小さいため,検出するにはpivot-shiftの定量的評価が必要である.そこで本研究の目的はACL損傷膝に対する合併半月板損傷の回旋不安定性への影響を定量的評価によって調査することとし,仮説は半月板損傷の合併はpivot-shiftを悪化させることとした.
対象および方法:片側性にACLを損傷した57例(男性26例,女性31例,年齢24±10歳)を対象とし,ACL再建術直前の全身麻酔下にpivot-shiftテストを行い,電磁気センサーを用いた定量的評価によりpivot-shiftの加速度を算出すると同時に国際膝記録委員会(IKDC)による臨床徒手的評価を行った.半月板損傷は術中に確認し,合併半月板損傷は32例で認められた.
結 果:Pivot-shiftの臨床徒手的評価は合併半月板損傷の有無で有意差はなかった.加速度での評価においても同様に統計学的有意差はなかった(半月板損傷あり1.6±1.1m/秒2,なし1.2±0.7m/秒2).しかし,合併半月板損傷を部位別に分類すると,外側半月板損傷の合併例では(2.1±1.1m/秒2,n=13)半月板損傷の合併のなかった症例に対して有意に大きなpivot-shiftの加速度が生じていた(p<0.05).また,内側半月板損傷の合併例(1.2±0.9m/秒2,n=12)や両側半月板損傷の合併例(1.4±1.1m/秒2,n=7)では半月板損傷のない症例に比べて有意差がなかった.
結 論:半月板損傷の合併は,特に外側半月板に生じた場合,ACL損傷膝の回旋不安定性に影響を及ぼす.ACL損傷膝に大きなpivot-shiftを認めた場合半月板損傷の合併を疑い,積極的治療も考慮すべきである.
© Nankodo Co., Ltd., 2021