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特集 成人脊柱変形Up to Date
第4章 治療
手術療法のリスク評価—耐術能に応じた手術選択
Risk Managemant for Adult Spinal Deformity Surgery: Surgical Indication According to Patients Backgrounds
吉田 剛
1
Go YOSHIDA
1
1浜松医科大学整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Hamamatsu Universituy School of Medicine
キーワード:
成人脊柱変形
,
adult spinal deformity
,
合併症
,
complication
,
手術適応
,
surgical indication
Keyword:
成人脊柱変形
,
adult spinal deformity
,
合併症
,
complication
,
手術適応
,
surgical indication
pp.743-747
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201735
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はじめに
成人脊柱変形(adult spinal deformity:ASD)患者が外科的治療を受ける機会が増加傾向にある.高齢者の脊柱変形は若年者の側弯変形と異なり,術前の併存疾患を有し,変形に伴う症状と神経症状を合併することもしばしば見受けられ,患者の健康関連QOLが障害されている4,9).ASDに対する手術治療は保存治療と比べQOL改善に有利である一方で,手術自体の手技が複雑で手術時間も長く,周術期合併症がいちばんの懸念事項となる5,8).そのため,一般的な脊椎手術よりも詳細な耐術能の評価を行う必要がある.過去にはASD患者の年齢,既往歴,併存症,内服歴,American Society of Anesthesiologists(ASA)score,フレイル,栄養状態,骨粗鬆症,椎体骨切りなどの手術侵襲が周術期合併症のリスクファクターとして報告されている.しかし,多くの合併症に関する報告はそのリスクファクターの検討であり,実際に合併症を予防する対策や術式選択について述べているわけではない.また近年,患者の併存症や全身状態,また社会的サポートを含めた患者のプロファイリングを手術選択の指標として用いる試みがなされている.そこで今回われわれは,脊椎手術の耐術能に関する基本的な考え方とわれわれが過去に作成した合併症予防のスライディングスケールの再考を含め,手術療法のリスク評価と耐術能に応じた手術選択について述べる.
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