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【要 旨】
目 的:成人症候性腰椎変形症(adult symptomatic lumbar deformity:ASLD)に対する脊椎矯正固定術の臨床的,X線学的成績および医療費について,平均7.5年の長期成績を報告する.
対象および方法:本研究は,術後5年以上追跡しえた50歳以上のASLD患者169例を対象とした多施設後方視研究である.患者は年齢層(50歳代,60歳代,70歳代)に分けられ,各群間で臨床成績,X線学的成績,合併症,医療費が比較された.
結 果:最終観察時のResearch Society(SRS)-22スコアは,年齢群間で類似していた(50歳代,60歳代,70歳代:4.0±0.5,3.8±0.7,3.8±0.7).全体の主要合併症発生率は56%で,遅発性合併症は12%で生じた.累積再手術率は23%で,4%で術後2年以上経過して再手術を必要とした.70歳代では,再手術率(33%)および経過中の全体の合併症率(65%)が有意に高かった.しかし,遅発性合併症率は年齢群間で有意差はなかった(9% vs. 12% vs. 13%).矢状面のアライメントは2年時に全年齢群で改善し,最終観察時まで維持されたが,全年齢群で胸椎後弯が進行した.初回手術の直接医療費は45,000±9,000ドルで,最終観察時には13%増加した.
結 論:ASLDに対する長期的な手術成績は,遅発性合併症および再手術が比較的低く,医療費の増加も好ましいものであった.高齢者では,より若年の患者層と同様の改善を達成していたが,再手術および合併症の発生率は高かった.本研究は,ASLD患者における長期的な手術成績が年齢を問わず有益であることを示しており,特に高齢者における適切な患者選択がさらなる臨床成績の改善に寄与する可能性がある.
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