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【要 旨】
背 景:脂肪由来幹細胞(ASC)の関節内注入は,変形性関節症(OA)の治療における症状と軟骨の質を改善する.しかし,多くの前臨床研究はASCを用いて実施されているのに対し,ほとんどの臨床試験は事前培養なしで脂肪組織から調製した間質血管細胞群(SVF)を用いて代用実施されている.
目 的:膝OA患者におけるASCまたはSVF関節内注射の臨床転帰をヒトで直接比較することである.
対象および方法:関節内注射を受けた42例のASC群(平均1,275万幹細胞,59膝)と38例のSVF群(69膝)で6ヵ月の転帰をコホート比較した.全患者がK-Lグレード2,3,または4の膝OAを有し,標準的な薬物療法では十分な効果が得られていなかった.ベースライン時および注射から1,3,6ヵ月後のpain-VASスコア,Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score(KOOS)を転帰指標として統計解析した.
結 果:両群で重大な合併症は生じなかった.SVF群は膝腫脹(SVF 8%,ASC 2%)の頻度が高く,脂肪採取部位に関連する軽度の合併症(SVF 34%,ASC 5%)も有意に多く認められた.両群ともpain-VASおよびKOOSサブスケールの改善を認めた.特にASC群ではSVF群(44%)と比較して,KOOS(症状)とpain-VASスコアで有意に改善した(55%;p<0.05).ASC群におけるOMERACT-OARSI基準responderの割合はASC群がわずかに高かったが有意差はなかった(ASC:62%,SVF:55%;p=0.25).
結 論:ASCおよびSVFはいずれも膝OA患者において臨床的改善をもたらすが,ASCはKOOS(症状)およびpain-VASの早期軽減においてSVFを少し上回り,合併症は有意に少ないことが観察された.
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