Japanese
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経験と考察
75歳以上の変形性膝関節症患者に対する電動アシスト付きエルゴメーターの効果
Efficacy of ergometer with electric assist for elder patients over than 75 years with osteoarthritis of the knee
戸田 佳孝
1
,
増田 研一
2
Y. Toda
1
,
K. Masuda
2
1戸田整形外科リウマチ科クリニック
2関西医療大学スポーツ医科学研究センター
1Toda Orthopedic Rheumatology Clinic, Suita
キーワード:
OA
,
knee
,
ergometer
,
electric assist exercise
Keyword:
OA
,
knee
,
ergometer
,
electric assist exercise
pp.1350-1353
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1350
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は じ め に
健常膝では膝屈曲30°から最終伸展にかけて下腿が大腿に対して外旋するスクリューホーム運動が確認される.変形性膝関節症(膝OA)患者では膝関節伸展可動域が制限されていることが多く,スクリューホーム運動が破綻し荷重時の関節適合性が不良となる1).このため,膝OAに対する関節運動療法では膝伸展可動域を増大させることが重要である.
他動的に膝関節を伸展させる運動では,筋の随意収縮を伴わないため膝関節伸展筋群(大腿四頭筋など)の筋力強化効果は少ない.しかし,出澤ら2)は透析患者に電動アシスト付きエルゴメーター(電動エルゴ)での運動を指導すると膝関節の可動域左右差が減少し,足関節背屈力が増加し,その影響で歩行可能距離が延長したと報告している.また,小池ら3)の透析患者を対象とした調査では電動エルゴを半年以上継続した患者の平均年齢は78.7歳であったのに対して,中断した患者の平均年齢は65.5歳と有意に若かった.高齢者は自動運動の正確な方法が習得し難いため他動運動のほうが適している可能性がある.
われわれは透析患者に対する電動エルゴの効果を高齢膝OA患者に応用できないかと考えた.本研究ではヒアルロン酸(HA)関節内注射を6ヵ月間以上受けており,症状が慢性化している高齢膝OA患者に対して電動エルゴを用いた運動を指導した場合の治療効果を評価した.
© Nankodo Co., Ltd., 2021