Japanese
English
経験と考察
転移性大腿骨骨腫瘍における切迫骨折と病的骨折の治療成績の比較
Comparison of treatment results for impending and pathological fractures in metastatic femoral tumors
柳澤 聖
1
,
内山 善康
1
,
丹澤 義一
1
,
渡邊 拓也
1
,
渡辺 雅彦
1
S. Yanagisawa
1
,
Y. Uchiyama
1
,
Y. Tanzawa
1
,
T. Watanabe
1
,
M. Watanabe
1
1東海大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Tokai University School of Medicine, Isehara
キーワード:
metastatic disease
,
femur
,
impending fracture
,
pathological fracture
Keyword:
metastatic disease
,
femur
,
impending fracture
,
pathological fracture
pp.1345-1349
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1345
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は じ め に
転移性大腿骨骨腫瘍患者における切迫骨折(骨折のリスクが高い状態)や病的骨折(骨折を生じてしまった状態)は,日常生活動作(ADL)の低下や生命予後の短縮をきたす1).転移性大腿骨骨腫瘍に対する治療方針や手術方法は意見の分かれるところであり,個々の患者にあった治療法を決定することになる2).長管骨に骨転移が生じた場合,サイズが小さく,力学的破綻のリスクや症状がない場合は,通常手術は行わない.しかし,サイズが大きくなり切迫骨折や病的骨折の状態になると,手術困難な全身状態,あるいは手術を行う意義がない場合を除き,骨の力学的破綻の修復,痛み軽減,患肢機能改善,生活の質改善を目的として手術的治療が行われる3).近年では,切迫骨折に対しては,病的骨折をきたす前に予防的に手術を行ったほうが,出血量が軽減され,入院期間は短縮し,術後歩行能力も優位であると考えられており,予防的手術を推奨する報告がある4).
当院でも,切迫骨折に対しては,病的骨折をきたす前に予防的に手術を行ってきた.本研究では,当院の大腿骨における転移性大腿骨骨腫瘍による切迫骨折と病的骨折の治療成績を後方視的に比較・検討したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2021