Japanese
English
経験と考察
変形性膝関節症に対する端坐位でスクリューホームを誘導する訓練の効果
Efficacy of exercise induced screw-home movement in upright sitting position for osteoarthritis of the knee
戸田 佳孝
1
Y. Toda
1
1戸田整形外科リウマチ科クリニック
1Toda Orthopedic Rheumatology Clinic, Suita
キーワード:
OA
,
knee
,
screw-home
,
exercise
,
FTA
Keyword:
OA
,
knee
,
screw-home
,
exercise
,
FTA
pp.110-113
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_110
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は じ め に
膝関節は下肢荷重関節の中心であり,関節の基本的な機能である支持性と可動性の点において,重要な役割を果たしている.変形性膝関節症(膝OA)では進行とともにこの支持性と可動性が破綻し,疼痛や可動域制限などの臨床症状を生ずるとともに,さらなる膝OA進行の要因にもなっている1).
健常膝では膝屈曲30°から最終伸展にかけて下腿が大腿に対して外旋するスクリューホーム運動がみられる.膝OAの異常歩行の特徴はスクリューホーム運動の破綻と歩行立脚初期の側方動揺(lateral thrust)である.いずれも伸展時の破綻であり,荷重時の関節適合性との関連が問題とされている2).
膝OAに対する理学療法の一つとして,端坐位から膝関節を伸展し停止させ,大腿四頭筋を等張性に収縮させる訓練が指導される3).筆者は端坐位から膝関節を伸展する訓練時に自動的に大腿を内旋し下腿を外旋させ,スクリューホームを誘導する運動を追加したほうが追加しなかった場合よりも,治療効果が増す可能性があるとの仮説を立てた.
本研究では,スクリューホームを誘導する運動の追加はどのような膝OA患者に特に有効であるかを明らかにするために,患者背景によって患者を分類した.すなわち年齢,性,罹患年数,body mass index(BMI),大腿脛骨角(FTA),Kellgren-Lawrence(K-L)分類4)によって分類し,大腿四頭筋強化訓練にスクリューホームを誘導する運動を追加した群と追加しなかった群の臨床症状の改善度を患者背景別に比較した.
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