Japanese
English
経験と考察
片側型内反変形性膝関節症患者の靴底の摩耗特性
Attrition characteristic of shoe sole in patients with osteoarthritis of the knee
戸田 佳孝
1
,
増田 研一
2
Y. Toda
1
,
K. Masuda
2
1戸田整形外科リウマチ科クリニック
2関西医療大学スポーツ医科学研究センター
1Toda Orthopedic Rheumatology Clinic, Suita
キーワード:
OA
,
knee
,
shoe
,
sole
,
attrition
Keyword:
OA
,
knee
,
shoe
,
sole
,
attrition
pp.1245-1248
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1245
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
外来診療で変形性膝関節症(膝OA)患者に「靴の外側がすり減るのはO脚のせいですか?」という質問を受けたことが筆者は数度ある.しかし,内反型膝OA患者に外側楔状足底挿板を採型する際に患者の靴のヒール部分を観察すると,外側のみならず内側がすり減っている場合も多い.
健常者の歩行では膝屈曲30°から最終伸展にかけて下腿が大腿に対して外旋するスクリューホーム運動が起こるため靴底は外側に向かって傾斜し,ヒールカウンターの中心よりも外側の靴底がもっとも摩耗する1,2).健常な若年新兵の靴を観察した研究ではヒール外側部分のみの摩耗がもっとも多く認められた3).ヒール外側部分の摩耗が大きいことで膝関節のアライメント異常を短絡的に疑うべきではないとの指摘もある4).むしろ,靴底ヒール部分内側の摩耗こそが病気の徴候である.特に,膝OA患者ではスクリューホーム運動が破綻することが多いため靴底の摩耗は外側に偏った進行ではなく,外側の摩耗と同時に内側も摩耗する2).
本研究では,靴底の内側と外側の摩耗の先端を結んだ線と爪先の先端と踵の中央を結んだ線がなす外側の角度である底面摩耗角度2)を膝OA患者と対照者で比較し,次いで膝OA患者の患者背景と底面摩耗角との関連性を評価した.
© Nankodo Co., Ltd., 2021