前傾位設置と中間位設置における人工股関節全置換術ステム周囲の回旋モーメントを伴う応力解析

Finite element analysis with rotational moment between anterior tilted implantation and neutral tilted implantation in total hip arthroplasty

は じ め に

　仰臥位前外側アプローチ（ALSアプローチ）では，挿入のしやすさからショートテーパーウェッジステム（STW）が広く使用されている．筋腱完全温存に注力して外閉鎖筋腱付着部を破壊しないためには，その付着部ぎりぎりからステムを挿入することとなり，ステムアライメントは軽度の前傾位設置となることが多い．以前に筆者らは，STWの前傾位設置と中間位設置における最大荷重負荷時［231％ body weight（BW）］での応力解析と破断強度試験を行い，その設置別の応力分布と破断強度に大きな差がないことを報告した^1）．しかし，日常生活動作（ADL）においては，荷重とともに常に回旋トルクが加わることが想定される．本研究は回旋を伴う荷重条件で，前傾位設置と中間位設置におけるSTW周囲に及ぼす影響について研究したので報告する．