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第6章 消化管
[炎症性腸疾患]抗菌ペプチドαディフェンシンの異常による腸炎発症メカニズム
綾部 時芳
1,2
1北海道大学 産学・地域協働推進機構
2北海道大学大学院 先端生命科学研究院
キーワード:
Crohn病(CD)
,
αディフェンシン
,
自然免疫
,
腸内細菌叢
Keyword:
Crohn病(CD)
,
αディフェンシン
,
自然免疫
,
腸内細菌叢
pp.594-597
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_594
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Summary
・抗菌ペプチド(antimicrobial peptide)は多細胞生物の遺伝子にコードされた30個ほどのアミノ酸からなる病原体を排除する自然免疫の作用因子である.
・小腸上皮細胞であるPaneth細胞から細菌刺激やコリン作動性神経刺激などに応答して分泌される抗菌ペプチド「αディフェンシン」は病原菌を強く殺菌する一方,LactobacillusやBifidobacteriumなどの共生菌は殺さない選択的殺菌活性を有し,腸内細菌叢の組成を制御している.
・αディフェンシンの分泌量低下や高次構造異常は,腸内細菌叢の破綻(dysbiosis)を介して炎症性腸疾患(IBD),生活習慣病や精神疾患などさまざまな疾患の発症や病態の増悪に関与することが示唆されている.
© Nankodo Co., Ltd., 2024