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第6章 消化管
[メタボリックシンドローム]腸内細菌代謝物と肥満・糖尿病
大野 博司
1
1理化学研究所生命医科学研究センター 粘膜システム研究チーム
キーワード:
腸内細菌代謝物
,
肥満・糖尿病
,
エライジン酸
,
単糖類
Keyword:
腸内細菌代謝物
,
肥満・糖尿病
,
エライジン酸
,
単糖類
pp.598-602
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_598
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Summary
・肥満モデルマウスや糖尿病患者の便中にはLachnospiraceae科に属する新種の細菌,Fusimonas intestiniが有意に多く認められる.
・F. intestiniは食用油に多く含まれる不飽和シス脂肪酸であるオレイン酸を代謝して,不飽和トランス脂肪酸であるエライジン酸を産生する.
・エライジン酸は腸管上皮タイトジャンクション障害から全身性の軽度慢性炎症を引き起こし,肥満・糖尿病を引き起こす.
・メタボリックシンドロームやインスリン抵抗性のある人では,便中の単糖類が健常者と比較して有意に多く認められる.
・便中単糖類と正に相関する腸内細菌はインスリン抵抗性とも正の相関を示し,便中単糖類と負に相関する腸内細菌はインスリン感受性と正に相関する.
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