特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 4] 血栓・止血のトピックス
iPS細胞を用いた血小板の体外製造と輸血
杉本 直志
1
,
江藤 浩之
1,2
1京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門
2千葉大学大学院 医学研究院イノベーション再生医学
キーワード:
不死化巨核球前駆細胞株(imMKCL)
,
バイオリアクター
,
血小板輸血不応症
,
循環能
Keyword:
不死化巨核球前駆細胞株(imMKCL)
,
バイオリアクター
,
血小板輸血不応症
,
循環能
pp.819-823
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_819
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▪血小板輸血製剤は,今日では献血制度により安定的にまかなわれているが,高齢化社会や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックなどによる供給不足,同種免疫性血小板輸血不応症などの課題がある.
▪iPS血小板の大量製造は,不死化巨核球前駆細胞株(imMKCL)や乱流型バイオリアクターの開発によって可能となった.
▪世界初のiPS血小板の臨床研究であるiPLAT1試験においては,製造法と非臨床試験の確立が達成され,安全性が用量漸増試験によって確認された.しかしながら,輸血後の血小板数増加が確認されず,測定法や循環能の検証を要する.
▪ヒト白血球抗原(HLA)クラスⅠ欠失などによる汎用性の高い同種製剤の開発やその多様な用途により,iPS血小板は輸血医療,再生医療に大きな変革をもたらすことが期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2023