特集 2020年代の内科診療―26テーマの近未来予想
呼吸器内科
[気管支喘息]
好中球優位型喘息の病態と治療
中込 一之
1
1埼玉医科大学呼吸器内科・アレルギーセンター
キーワード:
吸入ステロイド(ICS)
,
重症喘息
,
好中球性炎症
,
lipopolysaccharide(LPS)
,
thymic stromal lymphopoietin(TSLP)
Keyword:
吸入ステロイド(ICS)
,
重症喘息
,
好中球性炎症
,
lipopolysaccharide(LPS)
,
thymic stromal lymphopoietin(TSLP)
pp.1127-1131
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_1127
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Summary
▪重症喘息では好酸球性だけでなく好中球性気道炎症も観察され,一部では好中球と好酸球が連動する.好中球優位型重症喘息はコントロール不良であることが報告されている.
▪好中球性炎症の病因として,リポ多糖(LPS)などの環境因子や,気道におけるグラム陰性桿菌などの感染(または定着)の関与が想定されている.また,ステロイドは好中球の生存延長を誘導することが知られ,吸入ステロイド(ICS)も好中球優位型喘息の病態形成に関与する可能性がある.
▪好中球優位型重症喘息の治療として,環境整備,長時間作用性吸入抗コリン薬(LAMA)など気管支拡張薬の積極使用,マクロライド系抗菌薬や適切量のICS使用による気道クリーニングが重要であり,生物学的製剤では抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)製剤の効果が期待されている.
© Nankodo Co., Ltd., 2021