特集 もっとうまくいく! 病診連携の「伝え方」―わかりやすく伝えるための診療情報提供書作成のコツ
第Ⅱ章 <診療科別>コンサルトのポイント
I.アレルギー・リウマチ科へコンサルト
7.全身性硬化症(疑い)
小笠原 倫大
1
1順天堂大学膠原病・リウマチ内科
pp.664-666
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_664
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全身性硬化症または強皮症(systemic sclerosis:SSc)は,皮膚および肺,心臓,消化管などの内臓諸臓器に線維化と血流循環障害をきたす全身性自己免疫疾患である.病型分類は皮膚硬化範囲に基づき,皮膚硬化が肘を越えない限局性皮膚硬化型とびまん性皮膚硬化型,および他の膠原病との重複症候群に分類される.男女比は1:7~12で女性に多く,好発年齢は30~60歳である.病態形成に各種自己抗体が関与し,とくに抗Scl-70抗体,抗RNAポリメラーゼⅢ抗体,抗セントロメア抗体,抗U1-RNP抗体が重要である.臨床症状は多岐にわたり,Raynaud現象と皮膚硬化はほぼ必発であり,加えて各種臓器が障害されうる.医療機関への受診は,手指の冷え・痺れ,Raynaud現象,手指の荒れ,手指のむくみ,朝のこわばりを初発とするケースが多い.Raynaud現象をきたす疾患としては,ほかに混合性結合組織病,全身性エリテマトーデスなどの他の膠原病疾患,動脈閉塞性疾患,神経疾患,内分泌疾患,悪性腫瘍,外傷,化学薬剤などの可能性も考慮する必要がある.また,皮膚硬化をきたす疾患は,SSc以外にも慢性GVHD,糖尿病性浮腫性硬化症,好酸球性筋膜炎などもあるため鑑別を要する.
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