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Ⅰ.はじめに
がん患者の倦怠感は最も出現頻度の高い症状の1つであり,quality of life(QOL)を大きく阻害する.欧米においては化学療法,放射線療法,ホルモン療法などで60〜80%以上に倦怠感が確認され1),終末期がん患者の倦怠感は,疼痛,呼吸困難,食欲低下,不眠など複数の症状に伴い生じている2)3).また,介入については倦怠感の経験について話すことが有効であることや4)〜6),運動介入などが報告されている7).日本においては積極的治療を目的とした外来化学療法を受けているがん患者の倦怠感の捉えや対処,特性8)9),がん患者の倦怠感への影響要因が,低いperformance status(PS)10),倦怠感以外の身体の症状,孤独感,ホルモン療法,放射線治療と関連していることが報告されている11)〜13).終末期に焦点を当てた研究においては,入院中のがん患者の倦怠感14),および外来通院患者の倦怠感への影響要因15)について報告されている.しかし,終末期を在宅で過ごすがん患者の体験に焦点を当てた報告は見当たらない.終末期は死期が近づくに従い倦怠感の出現頻度は高くなり,死亡時は約97%にみられるようになる16).国のがん対策推進計画では自宅も死亡場所として選択できる体制整備が急がれており17),終末期を自宅で過ごすケースが増加すると予測される.倦怠感はコントロール困難な症状の1つであり,在宅で終末期を過ごすがん患者が倦怠感をどのように体験しているかを明らかにすることは,看護援助の示唆を得るために必要と考える.本研究では,在宅で終末期を過ごすがん患者の倦怠感の体験を明らかにすることを目的とした.
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