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研究報告
終末期がん患者へのがん告知を拒否した家族の体験
Qualitative Research on Families with Terminal Care Cancer Patients: The Experience of Families who Refuse Truth-Telling
谷村 千華
1
,
松尾 ミヨ子
1
,
平松 喜美子
1
Chika Tanimura
1
,
Miyoko Matsuo
1
,
Kimiko Hiramatsu
1
1鳥取大学医学部保健学科成人・老人看護学講座
1Department of Adult and Geriatric Nursing, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Tottori University
pp.38-46
発行日 2004年12月25日
Published Date 2004/12/25
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- Abstract 文献概要
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Ⅰ.はじめに
近年,患者個人の意思決定が重視され,がん患者への告知率は増加し,がん患者への精神的ケアに関する研究も増えている1,2).また,日米のがん看護研究の優先性や関心の動向を概観すると,米国での倫理的問題への関心は高まり3,4),日本においても“告知”に関することは必要性の高い研究課題と位置づけられている5).しかし,がん告知の普及にはいまだ文化的差異があり,告知が受け入れられてきた欧米と比較すると,日本でのがん告知は,特に終末期の場合に家族の意思に影響されやすい現状がみられる6〜8).また,家族が患者へのがん告知を拒否する状況下での看護介入に関する報告にその特徴をみることができる9,10).一般人のがん告知に関する意識調査でも家族にはがんであることを隠すという意見も少なくない11,12).さらに,坂田はがん告知の問題は日本の死の文化的背景の中で,さらに検討すべきであると示唆している13).多くの文献が語るのは,がん告知という事態に直面する患者・家族への看護について検討の余地があるということである.また,これらの研究ではがん告知を拒否した家族の体験を十分に分析するまでには至っておらず,がん告知を拒否した家族の思いや行動について深く考察しているものは少ない.
そこで,本研究の目的は終末期がん患者へのがん告知を拒否した家族の体験を明らかにすることである.
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