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付帯研究15
積極的抗がん治療の中止に際する意思決定をサポートするコミュニケーション
細川 舞*1,吉田 沙蘭*2,平井 啓*3,大竹 文雄*4
*1Mai HOSOKAWA:岩手県立大学看護学部,東北大学大学院医学系研究科保健学専攻博士後期課程/がん看護専門看護師,*2Saran YOSHIDA:東北大学大学院教育学研究科,*3Kei HIRAI:大阪大学大学院人間科学研究科,*4Fumio OHTAKE:大阪大学大学院経済学研究科
はじめに
医療における意思決定に関して,医師と患者が協働し,協議を重ねることで最終的な意思決定を導き出すshared decision makingが推奨されている.一方で,進行がん患者を対象とした,end of life discussion (EOLd)のあり方に関する患者の嗜好として,「共感的パターナリズム」(患者に対して言語的・非言語的な共感を示しながら,病状の見通しについても説明を行ったうえで,今後の方針については医師側がある程度主導的に示すということ)の姿勢が含まれている1).したがって,治療中止に際しての医師の説明の実態とそれに対する遺族の評価を明らかにすることで,共感的パターナリズムを取り入れた意思決定をサポートするコミュニケーションのあり方を検討するための資料が得られると考える.
付帯研究45
Do not resuscitation (DNR)に関する遺族の気持ち・考えについての研究
伊藤 奈央*1,松田 洋祐*2
*1Nao ITOU:岩手医科大学看護学部/がん看護専門看護師,*2Yosuke MATSUDA:東京共済病院緩和ケア内科
はじめに
終末期における話し合いは,患者の意向に沿った治療・ケアを提供するために重要であり,DNRに関する話し合い(DNR discussion)もそのうちの一つである.しかし,日本では,集団や家族中心の意思決定が重視され,患者との率直なコミュニケーションよりも,暗黙の了解や,できるだけ死を意識させない,思いやる意思決定が伝統的に尊重されてきた1,2).臨床では,DNR discussionによって患者が自分の死を意識し,つらくなるのではないか,医療者から見放されてしまうと感じてしまうのではないかと懸念し,どのように話を切り出したらよいか悩むことも少なくない.
そのため,遺族の体験から患者とのDNR discussionが有用か検証することは意義がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2023